FIRE最大の誤算——「4%ルール」は本当に安心か?

🔥FIREとは何か?──経済的自立と早期リタイアの概要

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期退職)」の略で、従来の定年まで働く人生とは異なり、できるだけ早い段階で仕事を辞め、自由な生活を送ることを目的としたライフスタイルです。

この考え方はアメリカで1990年代後半から徐々に広まりました。特に注目されるようになったのは2000年代以降で、金融危機や働き方の多様化を背景に、「早く仕事を辞めて自由に生きる」という選択肢に共感する人が増えたことが理由です。

FIREは主に以下の2本柱で構成されています。

  • Financial Independence(経済的自立)資産運用や副収入により、働かずに生活費を賄える状態。
  • Retire Early(早期リタイア)定年を待たずに退職し、自分の意志で働くかどうかを選べる生活。

FIREの前提にある「4%ルール」

FIREを支える考え方のひとつに「4%ルール」というものがあります。これは、資産総額の4%を毎年取り崩しても、資産は減らないとされるルールです。

たとえば、資産が7,500万円あれば、年4%で300万円の運用益が得られ、この範囲を生活費にすれば元本を維持したまま暮らせるという考え方です。

❗FIRE最大の落とし穴──「4%ルール」の心理的ワナ

この4%ルール、理論上は確かに魅力的です。ですが、私はここに大きな不安を感じています。

というのも、「4%」はあくまで長期的な平均値にすぎないからです。運用益は年によって当然ばらつきがあり、マイナスになる年だってあります。

初年度がマイナスだったら……

仮にFIREを始めた最初の年、株式市場が−4%の成績だったとしましょう。その年の生活費300万円を確保するためには、元本を取り崩さざるを得ません。その時点で資産は7,200万円まで目減りします。

たとえ翌年に市場が回復して8%の利益が出たとしても、減った初年度に多くの人はこう感じるはずです:

「えっ、FIREって毎年4%ずつ増えるんじゃなかったの?
むしろ減ってる……これ大丈夫なの?」

この最初のマイナス体験が、FIRE生活を一気に不安定なものにしてしまう可能性は否定できません。

「平均4%」という言葉に潜む落とし穴

4%という数字は、長い歴史における株式市場の平均成長率に基づいています。

けれど現実は、FIRE開始初年度にリーマンショックやコロナショック級の暴落が来る可能性もあるわけです。

「長期的に見れば株価は上がる」という過去の傾向にすがるしかない──それしか根拠がないというのは、想像以上に心細いものです。

FIREは“運”に左右される側面がある

結局のところ、FIRE生活は「最初の数年をうまく乗り切れるか」に大きく依存している気がします。

最初に2~3年連続して運用益が出れば軌道に乗るでしょう。

ですが、退職初年度に暴落が来て資産を減らしてしまったら?

これは精神的にも、経済的にも相当厳しい状況になるでしょう。

FIREは自由の象徴のように語られますが、現実はもっと不安定で、運に左右される一面もある──そう感じざるを得ません。

コメント

  1. ブログの更新ありがとうございます。
    元本を取り崩さないまま生活ができれば、それにこしたことはありませんが、人間には寿命がありますので、資産を残したところで、あの世には持っていけません。
    一昨年、父親を亡くして金融資産を相続したのですが、相続税の申告をするための税理士費用や相続税を支払うことになりました。その経験から、相続税がかからない基礎控除ぐらいの資産を残せれば十分だと思いました。
    取り崩しをそんなにネガティブに捉えていませんし、4%ルールを実現するためにリスクを取ろうとは思いませんね。
    安定した給与収入と暴落を食らっても回復を待てるぐらいの時間があれば、別ですが(笑)

    • コメントありがとうございます。
      会社都合の早期退職の場合、切り崩しなしで生活しようと考えるのは無理がありますよね。
      働いても現役時代ほど稼げる仕事はほぼ皆無ですし、Fireの4%ルールで投資をと考えても、そもそも投資も素人なわけで、上手くいく保証はない・・・
      ただ、ネット上の記事などを見ても、切り崩しについてのやり方や考え方を提示したものは極少って印象です。