再就職支援会社での、ある一言が今でも忘れられません。
「今後、1か月以内、遅くとも3か月以内には新しい職場に採用されるようにサポートさせていただきます」
退職から10日ほどで支援会社を訪れた私に、オリエンテーションで言い渡されたこの言葉。
世間的には「ありがたい」「前向きな支援」に聞こえるでしょう。
でも当時の私は、ゾッとしました。「え、もう1か月後には働いているかもしれないのか?」と。
私は会社員生活において心身ともにかなり疲弊していました。
表面上は元気でも、内側は空っぽ。そんな状態で再び社会に戻ることなど考えられなかったのです。
心の“回復”より“再就職”が優先される現実
実際に「また少し仕事をしてみようかな」と思えるまでに、私は2年半から3年の歳月を要しました。
正直、自分でも驚くほど、会社員としてのダメージは深かったのです。
もしあの時、支援会社の担当者からこう言われていたら——
「長年の勤務、本当にお疲れさまでした。まずは今、働ける状態にあるかを一緒に確認しましょう。診断チェックシートにご回答いただいた上で、今後の人生設計をご相談できればと思います」
…そう言ってもらえていたら、私の気持ちはだいぶ違っていたかもしれません。必要だったのは“すぐの就職”ではなく、“寄り添い”でした。
理想の再就職支援——こんな仕組みがあれば
- まずは心身の状態を確認するためのチェック
- 結果次第で「1年間の回復期間」を設ける支援
- その間は月1回の面談で孤立を防止(ハローワーク実績にも対応)
- 希望者には短期アルバイトの紹介もあり
こんな仕組みがあれば、私のように長期のサラリーマン生活で疲れ切った人でも「安心して回復→再スタート」ができたのではと思います。
“支援”という名の圧力
ある若い方のユーチューブ動画を見ていて、その方がこんなことを言っていました(この方は20代で心を病み、退職された方です)。
「私たちは義務教育を受け、労働力として生産され、社会に供給されていく」
まさにその通りだと感じました。
支援会社の「3か月以内に就職を」という言葉は、供給された労働力を“遊ばせない”という社会の構造を象徴しているように思えたのです。
もしかすると、支援会社には何らかの国からの補助が出ていて、「就職させる=成果」と評価される仕組みなのかもしれません(私には詳しいことは分かりませんが)。
だからこそ、「まずは休みましょう」なんて支援は、構造的に提供されにくいのではないかと感じます。
私は専門家ではありません。ただの“利用者”です
あくまで、私はこの分野の専門家ではありません。人材業界に詳しいわけでもありません。
でも一人の50代として、一人の疲れ切った退職者として、「あの時こんな支援があれば違っていたかもしれない」という視点を持っています。
もし今、再就職支援会社の利用を迷っている方がいたら、参考のひとつにしてもらえたらと思い、この記事を書きました。
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