50代でセミリタイヤしたあと、「もう一度働いてみようかな」と思ったときに、よく耳にする言葉があります。
「無職の期間が長くなると、再就職はどんどん難しくなりますよ」
私も、退職後に登録した再就職支援会社で、まさにこう言われました。
おそらく善意からのアドバイスだったとは思います。でも正直、「本当にそうなのかな?」というモヤモヤが残ったのも事実です。
なぜなら、これまでに「無職の期間が〇年あると再就職率は〇%になる」といった具体的な統計データを見たことがなかったからです。
にもかかわらず、「空白期間が長くなる=どんどん不利になる」と断定的に言われることに、違和感を持ちました。
この記事では、あくまで再就職支援会社を利用した一人の経験者としての視点から、この“通説”について考えたことを率直に綴ってみたいと思います。
「ブランク年数と再就職率」に根拠はあるのか?
まず前提として、私自身は「無職の期間が長くてもまったく不利にならない」と言いたいわけではありません。
ただ、どのくらいブランクがあると、どの程度再就職が難しくなるのかという具体的なデータを、見たことがないんです。
厚生労働省やリクルートワークスなどが出しているのは、主に年齢別や性別、就業形態別の再就職率です。
しかし「無職の期間が1年あると再就職率は●%、2年だと●%」といった形で、ブランク年数との相関関係を示すような信頼性の高いデータは、なぜか見当たりません。
あるのはせいぜい、企業の採用担当者向けアンケートで
「ブランクの長い応募者にはやや不安を感じる」
といった主観的な印象の調査ばかり。
つまり、この“空白期間が不利”という話は、感覚的なものとして独り歩きしている印象があるのです。

私のブランクと現実の反応
ここで、私自身の経験を少し書いておきます。
私は会社都合で早期退職したあと、正社員はもちろん、アルバイトなども含めて2年以上まったく働いていない期間がありました。
最近になって、週に2〜3回のバイトや、単発の仕事をいくつか始めています。
当然、履歴書には「2年以上のブランク」がはっきりと記載されますが、そのことを理由に面接渋い顔をされたことは、今のところ一度もありません。
もちろんこれはアルバイト採用での話ですし、正社員募集だったらまた違った対応があるかもしれません。
でも少なくとも私自身は、「2年以上働いていなかったからアウト」とされた場面に、まだ出会っていないのです。
「ブランクOK」の求人は意外と多い
実際、バイトル、タウンワーク、インディードといった一般的な求人サイトを見てみると、「ブランクOK」「職歴不問」と書かれた仕事は驚くほど多く掲載されています。
しかもそれらは、力仕事や体力勝負の現場だけに限りません。
事務、軽作業、受付、在宅の入力業務など、50代でも挑戦可能な仕事は確実に存在しています。

再就職支援会社では、そういった話はあまり聞かされませんでした。
どちらかというと「早く決めないとチャンスがどんどん減っていきますよ」というような、焦らせるようなメッセージが中心でした。
サラリーマンこそ、世間に疎くなる?
これは完全に私見ですが、長くサラリーマンをやっていると、どうしても自分がいた会社や業界の中だけの常識で物事を判断してしまう傾向があると思います。
つまり「世間知ってるつもりでも、意外と知らない」──それが50代の会社員によくある落とし穴ではないでしょうか。
私自身も、再就職支援会社に登録するまでは、転職市場や労働環境についてほとんど無知でした。
そんな中で、「無職の期間が長くなると不利になりますよ」と言われると、
「えっ、そうなんだ!まずいぞ!」と焦ってしまうのは、ある意味当然かもしれません。

再就職支援会社が“急がせる”理由?
あくまで私の想像ですが、再就職支援会社の側にも、“急がせたい理由”があるのではないかと思っています。
再就職支援会社は、退職者が早く次の職を見つけることで成果が出ます。
逆に言えば、1人の求職者に長期間つきっきりで対応するのは、彼らにとって負担でしかないのかもしれません。
だからこそ、「空白期間が長くなるとまずいですよ」といった言葉で、少しでも早く再就職へと背中を押そうとしてくるのではないか。
もちろん、そんな本音は絶対に表には出しませんが……(笑)。
結論:通説に振り回されず、自分のペースで
再就職支援会社の言葉をすべて否定するつもりはありません。
ただ、「無職の期間が長いと再就職は絶望的」という言葉を鵜呑みにして焦る必要はないとも思っています。
少なくとも、私の経験や目にした求人の実情からすると、それは少し大げさな“都市伝説”のようにも感じられるのです。
「働き方が多様化している今の時代に、ブランクの有無だけで一律に評価されることは本当にあるのか?」
そんな問いを、自分自身で持ちながら、落ち着いて再スタートを考えてみるのも悪くないと思います。
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