1.よくある“早期退職の失敗談”に感じる違和感
「早期退職後に年収が200万円下がった」「非正規の仕事しか見つからなかった」「生活水準が落ちて後悔している」——
こうした“ネガティブな体験談”やネット記事を見かけることが多くなりました。
しかし、これらには一つの共通点があります。それは、着眼点が「収入の減少」にピンポイントで偏っていること。
でもちょっと待ってほしい。
早期退職をすれば、正社員という立場を自分から降りるわけで、収入が減るのは、むしろ当たり前の話ではないでしょうか?
2.そもそも“収入が下がる”のは当たり前だったはずなのに
私は大卒後、30年間ずっと同じ会社で働いてきました。転職経験は一度もありません。
典型的な「社畜」、そして「井の中の蛙」状態だったと思います。
そんな私が早期退職を選んだとき、「正社員じゃなくなるのだから、収入は下がる」というのは覚悟していたつもりでした。
実際、割増の退職金も受け取っていましたし、毎月の収支に少しずつ取り崩していく…そんなイメージもありました。
ところが——いざ退職してみると、「収入が減ること」そのものへの不安が想像以上に大きかったのです。

3.不安の正体は「情報による刷り込み」だった
今振り返って思うのは、この「収入減=失敗」という考え方は、情報による刷り込みだったということです。
退職前後の私は、FIREやサイドFIREといった知識もなく、情報源といえばネット記事ばかり。そこには不安をあおる文言が並んでいました。
- 収入が下がると老後が破綻する
- 非正規になるのは“落ちぶれ”
- 会社を辞めても結局バイトかパートしかない
また、会社が紹介してくれた再就職支援会社でも、「収入は下がって当然ですよ」といった現実的な話はあまりされませんでした。
モチベーションを下げたくないからか、あるいは「前職同等かそれ以上の会社に入ってくれれば支援会社としての役割も果たせてラッキー」と思っていたのかもしれません。
その結果、私の中には「収入が下がること=悪いこと」という感覚が残り続け、
退職後1年が経っても、どこかで“もっと良い働き方があるはずだ”と迷い続けていました。
4.もし最初から“割り切れて”いたなら…
今になって思うのは、もし退職時点でこう割り切れていれば、FIRE生活はもっとスムーズだっただろう、ということです。
「収入が減るのは当たり前。そのための退職金だし、
あとは自分の裁量で働く時間や仕事を選んでいけばいい。
サラリーマン時代のような地獄の働き方に戻る必要はない。
主導権は自分にある。」
このように発想を切り替えておくことができたら、
余計な回り道や不安に振り回されることもなかったかもしれません。

5.「年収が下がった=失敗」はもうやめにしよう
今もなお、「年収が下がったら人生の敗北」という感覚は、社会のあちこちに潜んでいます。
けれど、よく考えてみてください。
- 年収は下がったが、ストレスもゼロになった
- 自分で働く量とタイミングを選べるようになった
- 平日に好きな時間に散歩できるようになった
- 通勤電車がなくなったことで健康が戻ってきた
これらすべて、“年収”には換算できない価値です。
だからこそ私は、これから早期退職を考える人に伝えたいのです。
収入が下がるのは、当たり前の話。
むしろその当たり前をどう受け止め、どう再設計していくかが大事なのだと。
<まとめ>
- 早期退職後の“収入減”は避けようがない現実
- それを「失敗」と決めつけるのは、社会的な刷り込みにすぎない
- 主導権を自分に戻し、“自分の基準”で生きることがFIRE生活の本質
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