2025年6月、日本全国のスーパーで備蓄米が安価で販売されました。価格高騰に悩まされていた消費者からすれば、ありがたい話です。小泉進次郎農水大臣のスピード感ある決断によって、たった2週間足らずで備蓄米が現場に届き、精米・包装されて店頭に並びました。
でもね、私は今回の件を見ていて、なんとも言えない“釈然としない気持ち”を抱いてしまったのです。というのも、私は30年間、中堅の上場企業でずっと雇われて働いてきました。現場での突発対応や、急な残業・休日出勤も何度か経験してきました。だからこそ、今回のような「スピード対応」の裏側にある現場のバタバタが、手に取るように想像できてしまったんです。
■ そもそも緊急対応が必要になったのはなぜ?
まず前提として、今回の米価高騰は1年ほど前から分かっていたことでした。それなのに、前任の農水大臣は特に有効な手を打たず、事態は放置。ついには「私は米を買ったことがない」なんて発言で辞任に追い込まれました。
やっと大臣が交代し、今回の安価な備蓄米放出に至るわけですが……本来なら、こんな“駆け込み対応”をせずに済んだはずなんですよね。
■ スピード感は素晴らしい。でも、そのしわ寄せは?
確かに小泉氏の決断は、これまでの古い役所的な対応から一歩進んだ印象があります。個人的には、そのスピード感と判断力には「今後に期待が持てるな」と思いました。ただし、これはあくまでも私個人の勝手な感想です。評論家でも何でもない、ひとりの元会社員の思いにすぎません。
でも一方で、そんなスピード感の裏で、大手量販店の社員たちは大変だったろうなと思うわけです。精米業者、包装資材の会社、物流のトラックドライバー、そして店舗で備蓄米を並べたり、お客さんの行列を整理したりするスタッフ……
6月1日に都内で報道されたように、開店前から850人の行列。ということは、社員は朝5時前、いや4時とかに出勤したんでしょうか? 「ご苦労さま」と思わずにはいられません。
しかも私が驚いたのは、販売された備蓄米が無地の簡素な袋ではなく、きちんとしたデザイン入りの包装だったということ。これ、小泉氏が備蓄米放出を発表してから2週間も経っていない中で準備されたものですよね?本当に、日本人って真面目すぎるというか、律儀すぎるというか……ある種の皮肉にも感じてしまいました。
■ 残業代は出る。でも評価は?
現代の企業は昔と違い、タダ働きはさせません。残業代や休日出勤手当は出すし、休みも代休でちゃんと消化させるでしょう。でもね、今回のような緊急対応に駆り出された社員に対し、臨時ボーナス10万円!なんてこと、絶対ないですよね(笑)。
たとえ今回の件で誰かが旅行をキャンセルしたとしても、それが評価されることは少ない。人事査定で「頑張ったね」と加点されることも、まずないんじゃないかなと思います。
■ 社会貢献アピールの裏で
今回、イオンや楽天などは、備蓄米販売の様子を積極的にメディアに公開していました。でもそれって、利益よりも「うちは社会の役に立ってます!」っていうアピールでしょう? 安価販売で儲けなんて出るわけないですし。
でもその“社会貢献パフォーマンス”を支えるのは誰かといえば、やっぱり名もなき現場社員なんです。そう思うと、「会社の看板のためにまた頑張らされたか……」と感じる人もいたんじゃないかと、私は思うのです。
■ 働き方改革って、こういう時には適用外?
国は「働き方改革だ」「休みを取れ」「残業規制」と声高に叫びます。でも今回のように、国の対応の遅れを民間が“緊急対応”で補うとき、働く側にはものすごい負荷がかかっているんですよね。
制度の言葉と、現実の現場。そのギャップを目の当たりにして、「これでいいのかな……?」と私は感じています。
■ 会社に向いてなかったな、と思う今日このごろ(笑)
こういう話をすると、「会社員なんだから当たり前」「雇われてる以上当然」と言う人も多いと思います。でも私はね、やっぱりどこかで釈然としなかった。だからこそ、30年間の会社員生活を振り返ると、「私は会社勤め、向いてなかったんだろうなぁ(笑)」と苦笑いしてしまうんです。
この記事は、ただの愚痴かもしれません。でも、同じようなモヤモヤを感じた方がいたら、「そうそう、わかるよ」と思ってもらえたら嬉しいです。
※この記事は、ひとりの元会社員の個人的な見解です。専門家の意見ではありません。
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