この記事は、私が会社員時代の晩年、なぜ心がこれほど寂しかったのかを振り返るものです。
書いていても心が重くなる話ですし、読む方の中には気持ちが苦しくなる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、これは私の実体験であり、実際に上場企業の現場で起きていたことです。正直な記録として残すことで、同じような境遇の方に少しでも届けばという思いで書きました。
「会社に行くのが本当に辛い」と感じ始めた頃
私が「会社に行くのが本当に辛い」と強く感じ始めたのは、2014年頃のことでした。
入社は1993年。それまでの約20年間も、決して会社が楽しい場所だと思ったことはありませんでしたが、「サラリーマンとはこんなものだ」と諦め、オンとオフを切り替えながらなんとかやり過ごしてきました。
しかし2014年頃、これまでとは違う心の重さを感じ始めたのです。「これはちょっとおかしいかもしれない」と自分の中の違和感に気づくようになりました。
経営不振と現場の疲弊
その背景には、会社の経営不振がありました。2010年以降、会社の売り上げは毎年のように前年割れを続け、浮上の兆しは一向に見えませんでした。
人員の補充は抑制され、パート社員の契約も「更新なし」が徐々に増え、正社員に雑用まで含めた業務が回るようになっていったのです。
上司が「人が減った分、業務を見直そう」と言ってくれるならまだ救われたかもしれません。
しかし、現実は「人が減っても仕事は減らない。だから残った人間で手分けしろ」というだけ。
そんな職場で、嫌気がさして退職する社員や、メンタル不調で突然休職する社員も目立ち始めました。
当然、人員補充はされず、残った社員の負担はさらに重くなるという悪循環が続きました。
出張先での心の異変
私が「これはおかしい、自分の心が壊れかけている」と強く実感したのは、ある日の出張のことです。
久しぶりの出張で、本来なら新幹線に乗る前に駅弁を選ぶのがちょっとした楽しみでした。
しかしその日は駅弁を選ぶ気力も湧かず、食欲もなく、車窓の外をただ真っ暗な中ぼんやり眺めるだけ。2〜3時間、無の時間が流れました。
日常の職場でも同じでした。
昼休みには、かつては同僚と雑談したり会社周辺を散歩したりしていたのに、いつの間にか昼寝が唯一の楽しみになっていました。
周囲も同様で、誰もがただ静かに眠り、心を休めることで精一杯。そんな職場でした。
メンタル不調者への無関心と自分の寂しさ
さらに私が後から振り返って「自分は本当に寂しい人間だった」と思うのは、メンタル不調で休職した社員に対して、心の底から思いやる気持ちを持てなかったことです。
出社した朝、突然の小部屋ミーティングで上司から「○○さんはしばらくお休みします。人員補充はありませんので皆でやりくりしてください」と告げられても、誰一人「○○さん大丈夫なんですか?心配です…」と口にすることはありませんでした。
なぜなら、みんな薄々「最近あの人様子がおかしい」と気づいていたからです。「ああ、やっぱり…」と、ただ重苦しい空気が流れるだけでした。
助けたい気持ちがなかったわけではない。でも自分の業務で手一杯で、動けなかったのです。それが、私の心の寂しさの正体だったと今では思います。
退職を決めた理由
このような状況は、2014年頃から2022年までほぼ変わりませんでした。
だからこそ、会社が早期退職募集を発表したとき、私は迷いませんでした。
逆に「これ以上ここに残ったら、さらに人員が減って、仕事量が爆発的に増える」という恐怖の方が圧倒的に強かったのです。
辞めることは逃げではなく、自分の心を守るための自然な選択でした。
最後に
こうした内容は、ネガティブで決して読んで気持ちの良いものではないかもしれません。
ですが、これは実際に上場企業で起きていたことであり、私自身の実体験として振り返り、あえて正直に書き残すことにしました。
どこかで、同じように苦しんでいる方の心に届けば嬉しく思います。
そして最後に、企業の経営者や幹部の方にひと言。
近年、多くの企業が敢行している早期退職者の中には、この記事に書いた私のような思いを抱え、心を擦り減らしながら去っていった社員が少なからずいると私は想像しています。
売上至上主義がもたらした弊害、メンタル不調者を見て見ぬふりをする風潮、どうか一度立ち止まって考え直していただきたい——そのことを、私からお伝えしておきます。
コメント
とても心に響きました。
私の会社も10年程前から同じことが起きていました。仕事は減らないのに、社員がどんどん減らされました。メンタル不調の休職者が増え、補充もなし。残された社員がぎりぎりで何とか仕事を回すと、それが既成事実となり、ますます補充されなくなる理不尽な状況。
仕事の投げ合いで、自分の身は自分で守らないとメンタルを病んでしまう、そんな残酷な世界から離れて早4年。
二度と働きたいとは思わなくなりました。
コメントありがとうございます。
そうなんですね、状況はどこの会社も一緒なんだなって分かりました。
本来、人員不足による急な業務量の増加があれば、「なぜ私がそれをしなければならないんですか?」と上司に食い下がったり、外国のようにストライキ起こして業務停止しても良かったかなとも思います。
ただ、疲弊しきっていた会社員時代はそんなエネルギーもなかったです(気力も会社に搾取されてました・・・(笑))。