「仕事」を盾に圧をかける人々
「活気のある会社」というフレーズをネットなどで目にすることがあります。しかしこの言葉に私は今の日本の世の中にそんな会社があると信じることができません。
私は大学卒業後、同じ会社で30年以上もサラリーマンをしていましたので、他の会社以外のことについてはよく知りません。しかし、私が心の底から思えたことは、「この会社にいると元気になるなぁ…」ということは一度もなかったということです。
「1分1秒でも会社にいたくない」「可能だったら今すぐに辞めたい」というように、精神的な負担から逃れるためにどうすればいいかばかり考えていた記憶が蘇ってくる。このような思考に囚われていると、新しい発想をすることもできず、人生を前向きに考えるエネルギーも奪わます。
会社という組織にいたとき、「ホントにこの人はつまらない人間だな」と思う人に何人も出会いました。特に苦痛だったのは、「これは仕事なんだから…」的な圧の雰囲気で話をしてくるタイプの人間です。
このタイプの人は、他人がミスをすると、「仕事なんだから次回から間違いがないように」「難しい調整だと思うが仕事なので何とかしないと…」といったように、とにかく「仕事」「仕事」という言葉でこちらの気持ちの逃げ場をなくしてくる。人の気持ちなどお構いなしで、このタイプの人の価値観は「人生で一番大事なのは仕事」なのです。
「活気のある会社」という虚像
会社は「仕事」を盾にして、圧をかけてくるロボットのような人間を作り続けている。当然、このような思考の人間が多数存在する会社で働かなければならないことは、非常に苦痛です。
私自身、会社員時代は複数の部署を経験しましたが、このタイプの人間は必ずといっていいほど各部署に存在し、しかもその数は少なくはありませんでした。
「仕事なんだから間違いは許されない」という理屈を盾に、精神的な圧をかけてくるタイプの人間は、経営者側からすれば「いい奴隷」です。しかしその本人は、自分は仕事の出来るエリートであると考えているため、救いようがありません。その結果、管理職の下で働かなければならない部下は、かわいそうです。
また、部下の中にも管理職の人間の「小型」のようなタイプも多数存在します。彼らは、ささいなことでも指摘し、周りを圧迫します。たとえば、共有ファイルのエクセルの表作成で、一箇所でも線の太さが前回と違う時、「ここが間違ってる。何回も間違えてるでしょ?早く直して!仕事だからキッチリしてよ!」といった感じで指摘してきます。こういう指摘で心を病む社員は後を絶ちません。
人はミスをするものだ。それを理解し、軽い雰囲気で対応できる職場なら、社員も心身ともに健康であり続けることができる。しかし、「仕事なんだから」という理屈を盾にして、人を圧迫する職場は、社員の精神的健康に悪影響を与えます。
日本の会社は社員を奴隷扱いしている?現実を知るべき理由
日本の多くの会社が、社員を奴隷のように扱っているという現実を知っていますか?私自身がそのような環境で働いていた経験から、この問題について考えてみたいと思います。
仕事において、誰しもが間違えることがあります。しかし、最近は「仕事なんだから絶対に間違えるな」という非人間的な雰囲気が広がっており、社員を奴隷扱いする会社が増えていると感じます。
私自身は、会社から早期退職(割増金含む)の募集があったことにより、そのような環境から逃れることができました。しかし、もし会社に残っていたとしたら、うつ病になっていたことは間違いありません。このような環境で働かざるを得ない人々が、多く存在するのが現状です。
日本の経済は、多くの会社員の「苦痛」に基づいて成り立っていると言えます。このような現状を踏まえると、日本が本当に豊かな国なのか疑問を感じます。多くの働く人々が心身ともに疲弊し、ストレスに悩まされているのは事実です。
私自身がそのような最悪の場所で働いていたことを考えると、同じような環境にいる方々がいることを知ると、本当に気の毒でかわいそうだと思います。
このような環境が、いつまで続くのでしょうか?働く環境について皆が真剣に向き合い、改善していくことが急務だと感じます。