「50代で早期退職したAさん。夫婦で豪華クルーズ旅行に200万円、新車購入にリフォーム……退職後1年間で割増退職金で受け取った1,500万の約半分の700万円を使い果たし、気づけば月10万円のアルバイト生活に。」
——こんなネット記事、見かけたことありませんか?
私はこの手の記事を見るたびに、「本当にこんな人いるの?」と首をかしげてしまいます。まるで漫画のような展開で、最後は決まって“後悔と転落”がセットになっている。まさに「絵に描いたような早期退職失敗談」です。
この記事、たぶん現役会社員が書いてるでしょ?
私は約30年、会社勤めを経験した後に早期退職を選んだ人間です。だからこそ、この手の作り話っぽい記事にはすぐに違和感を抱きます。
なぜかというと、現実の早期退職者ってそんなに“向こう見ず”じゃないからです。40代後半や50代で退職を選ぶ人は、これからの人生設計をシビアに見つめ直している人がほとんどです。
もちろん、「自分へのご褒美」は必要だと思います。私も退職後、ささやかな国内旅行や美味しいものを食べるなど、楽しみをいくつか味わいました。けれど、それも一巡すれば分かってくるんです。
「幸せって、お金で買えるものじゃないんだな」と。
たとえば、
- 毎朝ゆっくり朝食をとれること
- 月曜日の朝に憂鬱にならないこと
- 誰かの顔色をうかがわなくて済む生活
——そんな“お金のかからない幸せ”に、私は少しずつ気づいていきました。
なぜ不安ばかり煽る記事が、堂々と世に出るのか?
こうした「読んでも何も残らないどころか、不安だけが強くなる記事」を、意外にも大手の出版社や新聞社がネットに掲載していることがあります。
彼らはおそらく、これが現実の早期退職者とはかけ離れていることを“薄々”わかっているはずです。それでもなぜ出すのか。
答えはシンプルです。不安は、人を引き寄せるから。
人は不安になる記事を見ると「自分は大丈夫だろうか?」と気になり、つい最後まで読んでしまいます。クリックして、滞在時間が延びれば、ページは評価され、広告収入も得られます。
つまり、不安を煽れば煽るほど「数字」が取れるんです。
そしてその記事が検索上位に出れば、ますます多くの人が読んでしまう。結果、「早期退職=不幸な末路」というイメージだけが拡散されていく。
これって、冷静に考えたらとても危うい構図ですよね。
私自身も最近、こうしたユーチューブ動画やネット記事がスマホの画面に次々と表示されることに嫌気がさして、「この記事をおすすめ表示しない」という設定に変えました。
だから、声をあげたい
私はこう思います。
「早期退職した人間の“リアルな声”が、もっと届く世の中になってほしい」と。
誤解のないように言えば、退職後の人生は決してバラ色ではありません。
でも、だからといって「破滅」でもないんです。
ネット上の“ストーリー”に振り回されず、自分の現実を丁寧に生きる。そんなスタンスこそが、これからの人生を支える本当の力になると私は感じています。
コメント
ブログの更新ありがとうございます。
ひまやりさんの仰るとおりです。
「早期退職=不幸な末路」というイメーを拡散させる理由はなんでしょうか?
早期退職したいけど現実的には無理なので、鬱憤を晴らしているのでしょうか。
私も早期退職してまもなく5年目に入りますが、会社に行かなくていい生活は最高です。朝はゆっくりコーヒーを飲んで新聞を読んでいられますし、昼も混雑したお店や食堂で慌てて食べる必要もありません。とにかく、24時間365日自由ですからね!旅行も安い時を狙って、いつでも行けます。
もう二度と会社員生活には戻れません。どこも採ってくれるないでしょうけど(笑)
コメントありがとうございます。
退職前後に私はずいぶんこういうテイストの記事読んでネガティブな思いにさせられたものです。
自分が早期退職してみて分かったことは、月10万円のアルバイト生活でも、切り崩しと合わせてやっていけるならばOK。そもそも、本人が心身ともに無理なく働けて、その生活に満足していればそれでいいと思うんです。
ただ、こういう記事は「末路」だという方向で記事をまとめていますからね。
収入の「額」が人生の幸福を決めるかのような内容は、ホントに内容が薄っぺらいです。