ネット検索で多くヒットするネガティブな内容の「早期退職の末路」
「早期退職 50代」「早期退職 その後」などのキーワードでネット検索すると、上位でヒットする記事の多くはネガティブな内容のものが目立ちます。
その多くは再就職して収入が激減し、「こんなはずじゃなかった」と嘆く元管理職の例や、再就職に応募しまくったものの全て落ち、アルバイト生活になってしまったという例など、読んでいてげんなり気分が落ち込むものばかりです。
ただ、実際のところ、50代で再就職した末路はそんなに悲惨なのでしょうか?
私は50代前半で会社都合で早期退職して約2年になりますが、辞める前にネット記事を読んで恐れていたような末路はいかにもオーバーだと経験上思うようになりました。
退職金で心の平穏を取り戻す方法
ちなみにそう思えるようになったのは、退職金で年金受給まで毎年いくらまで切り崩せるかを計算すると、まずは気持ちが落ち着くことが分かったからです。
退職金の額は早期退職者の方で様々でしょう。
通常の退職金にプラスして近年多くの企業が敢行している会社都合による早期退職募集の場合は、割増退職金が支給されます。
仮にこの合計が2,000万円だと仮定し、早期退職時の年齢が54歳だとすると、年金受給まで11年。
この11年で2,000万円を使い切ると考えると、1年あたり180万円切り崩せることになります(180万円×11年=1,980万円)。
これは月に直すと15万円になります。
早期退職後の生活設計:月15万円の切り崩しプラン
もちろん、この場合、65歳になった時点で単純計算で割増退職金の総額2,000万円をほぼ使い切ることになるので、手元に残るのはゼロ。
なのでこれをそっくりそのまま実行するとなれば少し考えねばならないですが、ざっくりとした目安として、「毎月MAX15万円までは切り崩せる」ということが認識出来れば、これを軸に早期退職後の生活が組み立てられると私は考えます。
少なくとも路頭に迷ったり数年後に路上生活者になる?なんて不安が消えます。
ちなみに月15万円だと独身世帯だと、家賃の安い住居に引っ越ししたり、車を持たない、保険を見直す、などを行えば完全FIREの達成の可能性も膨らみます。
奥さんがいる場合は月15万円だとしんどいでしょうが、パートで働いてもらったりすれば数万円の生活費上乗せは可能でしょう。
また、60歳になると確定拠出年金が受け取れる方もいると思います(私もそうです)。
この場合はそれも含めると65歳までに切り崩せる月々のMAX金額が増えることになります。
もっとも退職金を年金受給までに全て使い切るのもやはり不安なので、ここで何らかの方法でお金を作る手段を考えることになります。
手段としては自分で働く、投資など、さまざまありますが、自分に適したお金の作り方をじっくり探せばいいです。
ちなみにお金を作る手段を考えるだけでなく、より生活コストを下げて出費を減らす策の模索も可能です。
究極は持ち家の場合、それを売って実家に帰るなんて選択も可能でしょう。
このようにサラリーマンをやっていると視野が狭くなり、思考が膠着していたものが、早期退職して自由な時間が持てると、ありとあらゆる生き方を模索出来る、という点も早期退職の大きなメリットだと言えるのではないでしょうか?
今の時代は高度成長期のように「定年まで会社員を全うする」なんてことは稀になっています。仮に全う出来たとしても、50代を過ぎて会社に居づらくなる方が大半ではないでしょうか?
ならば「モアベター」な方法でこの先の人生を生きる方法は何か?を真剣に考えねばならないと思います!
退職金がもたらす精神的な安心感
退職金という大きなお金が入るということは、精神的な安心感として大きいです。
最初は「月にMAX15万切り崩し可能」と計算し、この切り崩しを少しでも減らして65歳の時点でお金を残そうと発想を変えることが出来るのは、退職金が手元にある退職者の最大の強みだと言えます。
会社に残るリスクと早期退職の選択肢
会社員を続けていればこういった発想は持てません。
毎月定期的に給料がもらえるという安心感はあれど、その代償に毎日身を粉にして働かねばなりません。
また、そもそも早期退職者を募るほどの会社ですので経営不安があり、この先同じ給料が保証されるとは限りません。
リストラして負担軽減をして再建を、と意気込んだものの、上手くいかなくて経営破綻なんてことになる可能性もあるでしょう。
また、リストラして社員が減った後、残された社員の疲弊度合いも相当なものだろうと推測出来ます。
従って会社に残った場合の方が、先々の人生におけるお金のプランは立てられないんじゃないの?と思うわけです。
日々会社でストレスが溜まると、目の前の雑用を処理することだけに気持ちが向き、じっくり将来のことなんて考えられなくなりますよね(私は経験上このことは強く思います!)
このように理詰めて考えていくと、50代の早期退職の末路は悲惨ではなく、暗い人生になることはないことが認識できます。
50代で会社に残る選択の危険性
むしろ危険なのは、先々の経営に不安が残る会社に残る事ではないでしょうか?
逆に私がマスコミの方に記事にして欲しいのは、「50代で会社都合の早期退職募集に応募せず、会社に残った男の末路」です。
勝手にこの記事がどういう内容かシミュレーションしてみると、
・53歳の時会社都合の早期退職募集(割増退職あり)があったが、転職に不安があったAさんは会社に残った
・多くのベテラン社員が辞めた後、残った社員は想像していた以上の業務負荷がかかり、その影響はAさんにも及んだ
・激務がこたえ、55歳の時にAさんはうつ病を発症して休職に追い込まれる
・1年後うつ病の症状は改善したが、厳しい業務をこなす自信がなく、Aさんは退職を決意
・Aさんは後悔している。53歳の時の早期退職募集に応募していたら精神を病むことはなかったのに・・・
・ちなみにAさんの退職は「自己都合退職」とみなされ、割増退職金は支給されず、自己都合扱いの退職金のみ支給
・Aさんは現在、ハローワークからの失業保険を受給しながら、再就職先を探す活動を行っている。次の職場探しで最も重視しているのは、給与面よりも精神を病まずに働ける仕事という点だ
・・・・といったものでしょうか(笑)(素人が考えた下手くそなシナリオですみません)。
ただ、会社員時代、特に最後の10年は仕事で関連する部署で毎年1~2人心の病で休職していたのを目の前で見ていましたので、上記シナリオのようなパターンは大いにあると思います。
つまり、50代の早期退職者の末路よりもはるかに怖いのは、「50代で会社都合の早期退職募集に応募せず、会社に残った男の末路」だと言えます。