1つの会社に長く勤めたことは強みなのか?再就職支援会社で言われたことに対する違和感

「長く1つの会社で勤めた実績はあなたの強みです」と再就職支援会社で言われる

再就職支援会社の担当者と個別の面談が始まったのは、早期退職後20日ほどが経過した頃でした。

早期退職して数か月経った今、その頃を思い返すと、頭の思考回路は会社員時代と何ら変わっていなかったと振り返ることが出来ます。

 関連記事:早期退職後に再就職支援会社に登録するメリットは?

個別の面談の初回、職務経歴書の話になって、書き方などのレクチャーを受けました。

私はこれまでも何度か当ブログで書いてきた通り、再就職はする気はなかったのですが、とりあえず最初は支援会社の担当者に身を委ねて、レクチャーを聞いていました。

職務経歴書の「書き方の例」のようなものがあり、それを見ると何かと過去の自分の経歴が賑やかに書かれた記入例だなと思いました(笑)。

自分の強みは○○とか、前職で○○というプロジェクを成し遂げた実績がある、さらには課長補佐や部門管理の責任者だったなど、見ていて非常に華やかでした。

ただ、私はずっと平社員で役職経験もなく、ほぼルーチン業務しかやっていなかったので、「自分は大卒後勤めた会社は1社しかなく、役職者になった経歴もありません。なので職務経歴書に書く内容も、経験した仕事については内容がホントに乏しい」と支援会社の担当者に伝えました。

するとその担当者の方から、「それがあなたの強みです。一度も転職せずに同じ会社で働いていたという点は、転職の際には有利になります」というニュアンスで言われました。

長く1つの会社に勤めたことが再就職に有利か?

この時点では私はまだ早期退職して1か月も経っていなかったので、最初は素直に「そうなのか。ずっと1社で働いてきたというのは有利なのか・・・」と、何となく自分の会社員生活を評価された気持ちになったものです。

ただ、徐々に「ホントにそうか??」と思う気持ちが湧いてくるようになりました。

私は再就職したかったわけではないものの、「長く1社で勤めていたのは強み」と聞き、もしかすると「この支援会社経由で、特別なルートで転職のオファーがあるのではないか?」といったことも一時期想像していました。

ただ、一向にそのようなオファーなどありません。

なので次第に、「長く1社で勤めていたことが強み」という表現が、どうしても頭に引っかるようになり、違和感を感じるようになりました。

自分が採用担当者ならば50代で早期退職した人間を積極的に雇うか?

もし自分がある会社の人事担当者だと仮定した場合、50代で早期退職した人間を好んで雇おうとするか?

と考えた場合、答えは言うまでもなく「ノー」です。

別に自虐するわけではないですが、冷静に考えてノビシロもない50代を積極的に採用しても、企業にとってメリットはほぼないというのが、世間一般の考えです。

また、長年のサラリーマン生活で疲弊していて、気力が衰えていることも容易に想像出来ます。

その他では、こちらの動画でも話題になっている通り、「在職していた会社でしか通用しないスキルしか持っていない」というのも、ネックでしょう。

この動画は、日本の企業の約半分が副業禁止だという点について話しているものですが、裏を返せば「転職して他社でやっていけるスキルを持っている会社員が少ない」ことも意味しています。

早期退職して2か月、3か月と経過して徐々に会社員時代の思考が抜けて物事を俯瞰的に見れるようになってくると、尚更支援会社の担当者が初回の面談で話した「長く1社で勤めていたことがあなたの強み」という言葉が、ちょっと腑に落ちなくなってきたのです。

再就職支援会社の担当者が発した言葉の意図は?

ここからは私の私見になります。

支援会社の担当の方が「長く1社で勤めていたことがあなたの強み」と発したのは、我々早期退職した人間に、少しでも自信を持って転職活動をして欲しいという意図があるのだと思います。

仮に最初の面談で、「正直いって50代の転職事情は大変厳しいです。なので○○様の場合も前職からかなりの給料ダウンは覚悟されないといけないでしょうし、労働環境も悪くなることは覚悟して下さい・・・」などといってしまえば、大きく不安を煽ることになり、転職活動をする気力も萎えてしまいますので、絶対にそんなことは言いません。

なので、「長く1社で勤めていたことがあなたの強み」という表現は、モチベーションを下げないために使われる最も適切な表現とも言えるでしょう。

もっとも管理職経験もなく、50代で早期退職した人間に対する誉め言葉というのは、「会社というストレスのたまる場所で長い間よく耐えましたね」くらいしか見当たらないのも、事実でしょう。

そんなことをストレートには言えませんので、別の表現にしているというだけのことなのです。

再就職支援会社は、登録者を新しい職場に送り出せば、人員募集を出していた会社からお金がもらえる契約になっているはずです(詳細な事情は不明ですが)。

なので50代の人間の再就職が難しいことは認識しつつも、その中で何人かが再就職してくれればありがたいわけです。

再就職させた人数が多ければその実績を持って、「我が社は50代の方の再就職において高い実績を誇っています」とアピールも出来ますし・・・。

ちなみに再就職支援会社では、1社で勤めたことは強みと言いつつも、初回の全体の説明会では、「オファーを出しても10社、20社と落ちるのは普通です。ただ、我々は再就職が叶うまで皆さまのサポートを全力でさせて頂きます」と、相反する内容も話しています。

早期退職後は思考が完全にリセットするまで休んだ方が良い

退職後の再就職にあたっては、辞めてから期間が空くほど市場価値は下がると言われています。

要は離職期間が長くなるにつれて、再就職は難しくなるということらしいですが、それを鵜呑みにしてしまうと、退職後は焦る気持ちが出てきます。

ただ、焦ってもいいことはないと思います。

早めの再就職ということにこだわると、そんなに気乗りしない企業へ応募することにもなりますし、仮に運よく採用されても、またすぐに嫌になって辞めてしまうケースも考えられます。

もし私が退職して1か月くらいで再就職していたとしたら?・・・と考えた場合、現時点で3か月ほど新しい先で働いていることになります。

ただ、ハッピーな気持ちで働けているか?は大いに疑問が残ります。

もし辞めたい気持ちになっていれば、今度辞めてしまうと失業保険は「自己都合」で大きく減らされてしまいます。

何よりもメンタルがだいぶやられてしまって、気力がなくなっていることが想像出来ます。

なので早期退職後は焦って再就職のことを考えず期間を決めずに一旦頭に中から仕事のことを抜いて人生を考え直してみることが、自分の経験上おすすめと言えます。

  1. 「もし自分がある会社の人事担当者だと仮定した場合、50代で早期退職した人間を好んで雇おうとするか?と考えた場合、答えは言うまでもなく「ノー」です。」
    とのお話、全く同感です。
    私は先日、スーパーとホームセンターの週3日程の短時間パートの面接を受けましたが、両方不採用でした。
    私の心証もありますが、早期退職した50歳半ばのシニア男性を、雇う方は扱いやすいでしょうか?逆の立場でも扱いにくいのではないでしょうか。いくら短時間パートでも。
    曲がりなりにも30年以上一社を勤め上げた自負心に傷が付きますので、もう就職は考えないようになりました。
    人手不足の労働市場ではシニアの活用が取り沙汰されていますが、現場レベルではまだまだ敬遠されてる感は否めないです。

    • コメントありがとうございます。
      以前にリタイア王子さんが面接に行かれたというお話を聞きしましたが、私は凄いなと思います。
      私は再就職支援会社での最初のオリエンテーション的な集まりの場で、「10社、20社落ちるのは普通です。ただ、我々は皆さまが再就職出来るまで全力でサポート致します」という言葉を聞いた途端にげんなりし、面接に応募する気にすらなりませんでした。
      人手不足市場で我々早期退職者をあてにするのはやめて欲しいですね(笑)。
      お金は、雇われて働かなくていいネット系で何とかする手段を考えれる方法に思考を変えれば、ずいぶん気が楽になります。

  2. お疲れ様です。同感です。
    私は公務員で27年間勤務してきましたが、うちの自治体も出来る方(若い方)から民間でホワイトな会社もしくはホワイト自治体に転職していきます。私は50代なので貴殿と同じく来年早期退職に応募して2度と働きません。

    • コメントありがとうございます。
      現時点ではまだ現役で働いておられるんですね。
      私の場合、早期退職募集開始から応募まで期間が大変短かったので、辞めてからのことは検討する時間がなく、見切りで応募しました。
      ただ、辞めてみて数か月経ち、正解だったと思ってます。
      公務員⇒民間のホワイト企業というルートがあるんですね。
      ただ、私も外から見ればホワイト企業と見られている会社にいましたが、近年は精神疾患で休職する人間が多く(私もその寸前まで追い詰められました)、いい環境とは言えないのが実態ではないかと推測します・・・

  3. 「お金は、雇われて働かなくていいネット系で何とかする手段を考えれる方法に思考を変えれば、ずいぶん気が楽になります。」とのアドバイスが参考になりました。
    面接でも自分の子供くらいの社員から上から目線であれこれ聴かれたり、実際に働くとなっても扱われ方によっては、30年以上一社で勤め上げた自負心が邪魔して、心地良く働けないと思います。雇われ人としては失格ですね(笑)。
    上司の顔を伺いながら働くのはやめて、ネットで少しでも収入が得られればいいのですが。
    ひまやりさんのようにネットで稼げるスキルをお持ちなのが羨ましい限りです。
    私も来年はそういうスキルを磨いて、少しでも収入に繋げていくことを目標にしたいと思います。
    健康に気を付けて、新年をお迎えください。

    • コメントありがとうございます。
      ネットでの稼ぎ方は私も日々勉強中で、恐らくこの先もネット経由で出来る仕事が増えてくると予想しています。
      「40代後半~50代での早期退職者増加」⇒「一方では人手不足の企業は今なお多い」⇒「とはいえ、我々早期退職者は雇われてこき使われるのを嫌い、普通に再就職しない」となれば、企業側の人手不足は解消せず、単発の仕事募集やネットを使って業務をしてくれる人を募集するしかなくなるので、高収入と欲張らなければ仕事は拾えるかと思っています。
      ネットでクラウドソーシングで仕事を受ける利点は、発注元が30代や40代でも気にならない点です(そもそも、発注元が何歳の人かも分かりません)。ライティングなどで相手の意に添わず1回で仕事が終わっても、付き合いはそこまでで、また他の発注者を探せばいいので、気分も楽です。